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自慢できる 茶室をつくるために 2000年1月 8日 01:00 投稿

根岸 照彦 昭和61年6月10日

 茶道関連の書籍は手元に置いておきたくなるものが多いのだが、今回読んだ「自慢できる 茶室をつくるために」は絶対に注文してやるぞ、と思わせてくれた。もし、絶版になっていたとしても、あらゆる手段を使っても手に入れたいと考えている。
さて、著者の根岸氏は今日庵(裏千家)の営繕部長をされている方と奥付に紹介されている。経歴を拝見していると、建築畑をずっと歩かれた方なのだが、ユーモアにあふれた文章はとかく難しく思われてしまう茶道の世界、それも茶室という建築学的にみても奇異な潜在である分野を、私たちのような素人にもわかりやすく解説してくれている。また氏が描かれたそれらのイラストも、単純化されていて好ましく思える。気負わずに、しかし、しっかりとした主張のある内容は、お茶室の構造を知るための良き入門書として勧めたいと思う。
 『茶室とはお茶事をするための空間であるから、それが行いやすくなければならない。すなわち客も亭主も使いやくすく動きやすい空間にするのが、自慢できる茶室である』と氏は「はじめに」で記載しているが、これはお茶を知っているから言える言葉である。茶道を知っている職人が作った茶室と知らない人が作ったそれとでは、見た目の美しさはともかくとして、細かい作りにまでは目がゆき届かない。これは物作りをする職人にも当てはまる言葉だと思う。
 茶の湯というものはただお茶を点てて飲むものだけでは無いと言うことを知ったのは、本格的にこの道を勉強してからである。また、それをするための空間「茶室」の存在も知ってはいたが、それがどんな意味を持って作られているのかも知らずにいた。だが茶会等で入る茶室に次第に心惹かれていったのも、茶の湯のための部屋、すなわち茶室を作ってしまった茶人たちの道を極める生き方に共感したところが大きい。今回、根岸氏の著作に出会ったことで、私が惹かれた茶人の心意気が少し解明されたような気分にもなっている。以後の茶室の席入りが楽しみでもある。
 私の将来の夢の一つに茶室を持つことがある。基本を踏襲した、しかし斬新なものを作っていきたいと考えている。その夢の実現までこの本とじっくりと向き合っていこうと思う。
 インターネットで検索したところ、この本は購入可能なようだ。発行元は淡交社。

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