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お茶事 2000年1月11日 01:00 投稿

佐々木 三味 昭和41年5月17日 初版

 『茶事を知らずしてお茶を語るなかれであり、茶事を経験せずして茶人の資格はないのである』といきなり序説に書いてしまった著者佐々木三味氏は、茶道に精通した人物として知る人ゾ知る、茶道会の重鎮である。
 実はこの人の存在を知ったのも本からである。古本屋の片隅で「茶味陶心」(河原書店刊 昭和24年出版)を発見したのが佐々木氏との出会いである。(この書籍、まだ読んでいないのであるが、近い内にこのコーナーに登場する予定)
 「日頃の稽古はお茶事のため」と我が師匠も話しているが、お茶事を経験することで、日頃の稽古の面白さもわかり、より一層稽古に身が入るものである。また、お茶事に参加できる事で、良き客ぶりとはどういったものかを知ることにもなるのである。日頃の稽古はとかく単調になりがちだが、そういった事を常に念頭に入れて置くことで、稽古にも身が入るだが。。。と思いつつもなかな実行できていない自らの姿を、本書は省みさせてくれた。
 本書は「お茶事」参考書として、是非、手元に置いておきたいが、ビジュアルな解説は1ページもない。という事は、本当にお茶を知っている人、できれば茶事を経験したことのある人が読む本である。想像に任せて読む事は殆ど不可能であるから、おそらく眠気を誘ってしまうであろう。だが、参考書でありながらも、茶事の面白さを豊かな言葉と文章力で表現されているところは、茶人の粋を感じてしまう。
 しかし、なんともはやお茶事とは面倒なものである。そういった面倒なお茶事の解説をしてくれた著者は、たくさんの茶事を客としても亭主としても経験している強者である。その面倒なものが現在の茶道でも次第に疎遠になりつつあり、大寄せの茶会などが専らの茶道の世界であるように勘違いされていると言っても過言ではないだろうが、茶道の世界も変わりつつあるのである。そういった郷愁を行間に感じることも多く、このような本もまた、古き良き時代を回想させるノスタルジーな一冊になってしまうのだろうか。
 発行元 淡交社

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