透木釜 2001年4月 7日 00:00 投稿
今日は初物の「透木釜」と「旅箪笥」でお薄点前と炭点前(初炭)のお稽古してきました。蓋置きは五徳を使いました。
透木釜の画像が無くて残念なのですが、このお釜はこの時期だけ使うことのできる贅沢な物だという事を簡単に説明します。なぜ五徳の蓋置きを使ったのかもわかると思います。
炉もこの時期になりますと、だいぶ、灰が上に上がってきます。五徳も半分くらい隠れていますので、炭をついで釜をのせることが困難な頃合いになると五徳を外して「釣り釜」または「透木釜」を使うようになります。「釣り釜」は天井から自在鍵を用いて釜を釣ります。天井から釣りますので、釜は小振りになります。「透木釜」は炉壇に掛けますが、直接掛けることはせず「透木」というものを使いますので「透木釜」と呼ばれているようです。炉壇にかけますので、釜としてはとても大振りな物に見えますが、高さは思ったよりも低く、また、羽(炉壇にかける部分)が釜の周りをぐるりと巻いていますので、湯はたくさん入らないようです。
この「羽」ですが、土星の輪のようにきれいな同心円ではありません。趣を出すために虫食いのような円になっています。こういった趣向を凝らせることができるのも、茶の湯道具の面白いところでもあります。また、炉を覆ってしまうほどの大きな釜にも意味があるようです。そろそろ「火」が無くても心地よい季節になりましたので、できるだけお客様に暑苦しいものを見せないという心遣いでもあるようです。これもまた日本的な粋を感じさせますね。
今日は「透木釜」の話だけになってしまいました。来週はお炭の話をしましょう。