「続きお薄」について 1998年2月28日 00:00 投稿
早いもので明日からは3月です。3月といえばやはり「雛祭」ですので、先生のお稽古場の床の間には姫達磨が飾ってありました。掛物も同じようにお雛さまの絵が掛けてあります。茶花も「桃と菜の花」で部屋に入るだけで春を感じてしまいます。お道具達も春を意識したものが多くなってきました。
今日のお稽古は「続きお薄」お茶を知らない人の為に簡単に説明しておきます。お茶事ではお濃い茶の後に中立ちがあり、その後、再び席入りをしてお薄のお点前にはいります。中立ちというのは休憩のようなものです。この中立ちを省いてしまい、続けてお薄のお点前に入ることを「続きお薄」といいます。その時の状況で(例えば帰りが遅くなってしまいそうな時、特に冬などは暗くなるのが早いですから、ちょっとした気遣いでしょうね)、亭主のほうからか、または正客のほうから、どちらが申し出てもかまわないのですが、「○○○なので続いてお薄を差し上げたい」「○○○なので続いてお薄をお願いしたい」と○○○には適当な言葉をみつけてお願いするわけです。
濃い茶とお薄をいっしょにやってしまうわけですから、茶碗と茶杓は併用しますが、茶入れと棗は一緒に点前座に並びます。建水は一度こぼして新ためます。こうやって書いていると簡単なようですが、実は面倒な所作がたくさんあります。例えば、中立ちのかわりに、これは冬の場合ですが、座布団・手炙りなどを出します。菓子については干菓子になります。そんなことをしながらお薄点前に入っていきます。そして、お茶を点ててほっとしたのも束の間、茶入れと棗の入れ換えをします。これが、わからないのですね。ついつい口の中でぶつぶつ言ってしまいます。「右・左・右・右・右」と言いながら手の使い方を言い聞かせているわけです。
お茶を知らない人にはちゃっと不思議な世界を紹介しました。日頃はパソコンばかりの世界なので、このような世界もまた居心地の良いものです。